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2013年12月27日 (金)

パテントトロールの何が悪いのだ

昔、パテントトロール、パテントマフィアとか、いろいろ話題がありました。

メディア等での宣伝の仕方が、反社会的勢力と同じようになっていて、うまく先入観を仕込まれた感がします。

しかし、よく考えてみると、パテントトロールとそれ以外の者(仮に「正当権利者」とします)の権利行使って何が違うのだろう。

両者ともに、法上の正当な特許権者であり、侵害警告を受けた場合には技術的範囲に属しているわけです(もちろん争点ですが)。

であれば、特許法および民法に基づく、正当な権利行使であって前者だけが非難されるおぼえはない。

では、パテントトロールは事業(実施)しないという反論もあるかもしれません。

しかし、自ら実施せず、ライセンス目的等で特許出願する人も少なからず存在するわけですから、同じです。

また、他の人の特許権を譲り受けて、権利行使する場合が悪だといわれる方もいるかもしれません。

しかしながら、特許権は、特許法上、権利譲渡を認めているわけですから、権利譲渡した特許権の行使だけは認めないという主張も納得できない。

結局、パテントトロールだけが非難される理由がよくわからない。

このブログで正当権利者と定義した者であっても、知財力の大小如何で、嫌らしくも相手の足元をみて取引するわけですから、両者に違いはない。

それどころか、正当権利者の自分に有利なように知財を用いるという発想が、パテントトロールと同じ類にみえてなりません。

そうであれば、パテントトロールと正当権利者とを区分けできるはずはなく、相手の特許権侵害して自分の都合の悪い場合にだけ、パテントトロールという悪魔のイメージを利用して倫理に訴えているに過ぎません。

結局、パテントトロールの権利行使を否定するだけの十分な論拠は存在しないと思うのです。

実際の裁判で白黒がはっきりするも、それは代理人弁護士の訴訟能力だけの問題ではないでしょうか。

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2013年12月21日 (土)

審査応用能力研修を受けて

先日、特許庁主催の審査応用能力研修を受けてきました。

研修といっても、座学ではなく、討論形式のものです。

しっかり予習して、自分の見解を主張し、議論します。

2つの事例を半日かけて追いかけました。

本願と、複数の引用例が事前に配布され、論理づけの有無を検討します。

私は、出願人代理人の立場ですので、特許性有りの主張をしたいのですが、

事例は裁判で争点になったものであり、そんなに単純なものではありませんでした。

グループ分けをして審査官が圧倒的に多い中、孤軍奮闘かと思いましたが、

意外にも、特許性を主張される審査官が多いことに驚きました。

普段、拒絶理由ばかりもらっていると、

審査官=拒絶をする人=出願人(代理人)の敵というイメージになりがちです。

しかし、意外にも、まともというか、前向きに考えられている方が多く、ある意味で安心しました。

私は、審査官とは特許か拒絶という心証(結論)がまず先にあり、その心証を到着点として論理づけを作り上げる(捻じ曲げる?)という仕事だと思っていました。

しかしながら、事例の中には、私は進歩性がなきことが明確と考えたケースについても、進歩性有りと判断される審査官が多かったのです。

そこで、その事例をひとつ紹介いたします(少し大雑把ですが、御了承願いたい)。

・本願発明の特定事項

A+B+Cにおいて、

D+Eであることを特徴とする物。

・引用例1に記載事項

A+B+C

本願のA+B+Cが技術的思想を崩さずにそのまま記載されている。

・引用例2(周知技術)に記載事項

D+E

本願のD+Eが技術的思想を崩さずにそのまま記載されている。

・・全て同じ技術分野(例えば、家屋や車両のキーロック技術)である。

・・本願は、引用例と比較して異質な効果は見当たらない。

(私の結論)

本願は、引用例1に引用例2を適用して当業者が容易に創作できる(進歩性無)ものである。

という見解です。

(争点とコメント)

明らかに進歩性がないと判断したのですが、特許性有りと判断される審査官が多かったです(判例は進歩性無でした)。

その論拠は、

引用例1と引用例2とを結びつけるための「共通の課題」が存在しないというものです。

引用例1と引用例2では共通の技術分野ですが、

具体的な課題が異なった発明であり、よって両者を相互に適用できないと判断されているようでした。

なるほど、

このように判断される審査官が多いことは特許になり易いということですので、代理人としてウエルカムと思ったのですが、

逆に、このようなケースが特許になれば、模倣や後知恵的な特許も多くなり、

特許権乱立のおそれも出てくると思います。

そうすると、企業はより多くの防衛的な出願が必要になり、コストの負担だけではなく、特許戦略の見直しが必要になります。

しかし、判例は、やはり進歩性無という結論でまとめています。

その論拠は、

引用例2に引用例1と共通の課題が明確に記載されていないとしても、

引用例1の課題は「自明の課題」として引用例2の技術分野においても当業者が認識される程度のものであるという主旨のものでした。

なるほど、なるほど、

「自明の課題」ですか。

他社の権利を無効にするとき、情報提供により拒絶に導くときに使えますが、

「自明の課題」の解釈についても当然に争点になり得ます。

しかし、そのような論拠が認められた以上、

その使い方は、

出願人にとっても、第三者にとっても双方にメリットがあるように思えます。

特に、出願人にとっては拒絶になりそうな発明案件の出願を控えることも可能ですし、特許戦略をさらにスマートなものに改善することもできます。

つまり低コスト化を図ることができます。

なんでもかんでも特許になり、後に事業を脅かされる心配が少しでも低減されることは何よりも大きなメリットでしょう。

(感想)

今回の研修は、実りの多いものでした。

今後も、討論形式の研修には積極的に参加していきたいと思います。

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2013年12月 1日 (日)

事業戦略と国際標準化

先日、本屋めぐりをしていました。

目的は、事業戦略と標準化に関する書籍を購入するためです。

知財戦略とか、特許戦略関連は、弁理士書籍の近くにありますが、

事業戦略や標準化に関するものは、技術経営に関するコーナーになります。

弁理士や弁護士が事業戦略に関して書いたものは、それほど多くはありません。

が、たいてい、権利化や訴訟関連を中心としたものです。

下手すると、知財戦略というタイトルで、法律の説明ばかり記載されているものがありますが、タイトルと内容が乖離しているのではと思ってしまいます。

それは重要としても、

経営者の観点から事業戦略を考えたい書籍を探していたので、少し的外れです。

でも、探してみると、それなりに見当たりました。

最近、特許戦略の立案という仕事が増える中で、このような情報が是非とも必要でした。

年末まで時間がありませんが、正月から年始にかけて研究してみます。

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