« 社労士試験に参戦! | トップページ | 大企業のお粗末な特許戦略で外国に技術だだ漏れ… »

2017年12月19日 (火)

特定侵害訴訟代理業務試験について

今年も特定侵害訴訟代理業務試験(以下、付記代理試験)が行われ、結果が発表された。

特許庁から公表されている結果を参照する。

https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/h29_shingai_result.htm

平成15年度からの経緯を見ると、

弁理士数が増加しているにもかかわらず、志願者数が激減している状況だ。

順調に減っている。

平成29年は193名に対して合格者88名。

この数字から読み取ることができるのは、

特定侵害訴訟代理業務試験は形骸化しているということだ。

そもそも訴訟実務もほとんど経験のない弁理士に訴訟代理資格は分を超えている。

共同代理なら良いという条件で、訴訟代理権が付与されるものの

共同代理よりも、実力的に補佐人が妥当ではないか?

こんな試験に合格しても何がどうかなるわけではないのだ。

裁判官が期待できるレベルにならない。

本業の片手間で弁理士が研修を受け、多くの時間を割いて試験勉強し、仮に試験に合格しても、訴訟代理の仕事なんてこないと断言できる。

そうなれば、合格したときの知識が飛んだ状態で何年も過ごし、仮に5年後に事件を受任しても、そのときはまたゼロからになる。

よって、この試験に合格したことによって、

形式的には代理資格を有しても、糞の役にも立たない状況が待っているのだ。

弁理士が、弁護士を講師に招き、自己満足で時間を消費する。

これが今の付記代理試験の現実と映る。

弁理士は特許の専門家であり、技術の専門家であって、

一般的な法律の専門家ではない。

いわゆる法律の専門家といえるのは、弁護士と司法書士のみ。

他は、特殊業務の専門家になろう(もちろん業務に関係する法律は熟知しているはずだが)。

弁護士にとっても、共同代理より、補佐人として弁理士が関与する方が訴訟手続進行上、やり易いのではないだろうか?

共同代理だと、代理人同士の調整が必要となり、訴訟をコントロールできなくなる。

他方、補佐人だと、あくまでも参与的な参加なので、意見は聞くが、コントロールは弁護士単独でできる。

こうしたことで、弁護士側に共同代理のニーズはないといえる。

また、最近では理系出身の弁護士が増えている。

ロースクールを出た特許弁護士が事件を担当する機会が増えている事実を考慮すれば、弁理士に訴訟代理資格を付与する理由はないといえるだろう。

もうひとつの観点。

弁理士の力量の点を考えると、訴訟にも慣れが必要だ。

私も補佐人として侵害訴訟に関与する機会を頂いたが、

裁判所の雰囲気で審理することはなかなか大変。

アウェイ感で気が滅入る。

訴訟手続にしても、やはり付記代理試験の内容では、とても代理権なんて与えられたものではない。

書記官に聞いてみればすぐにわかる。

弁理士が担当すると、いろいろ手続の不備があると…

弁理士に訴訟代理の力量なんて備わっていないのであるから、このような付記代理試験を合格したからという事実だけで、弁理士に訴訟代理権が付与されるのは、裁判所として、また、依頼人としても、たまったものではないのであろう。

このようにニーズと力量の観点から、弁理士に訴訟代理はマッチしない。

弁理士に要求されているのは、これとはむしろ逆で、なるべく訴訟に至る前に解決する番人である。

訴訟になれば、勝訴と敗訴にわかれるが、真の勝利者はいないのだ。

裁判の当事者になることで、たとえ原告であっても、負けなのである。

訴訟が提起されれば、毎月、裁判所に出向く。これが約1年続く。

中小企業の経営者が当事者になれば、会社の営業はどうなる?

社長は多くの仕事を抱えているが、裁判している時間、労力なんてないはずだ。

弁理士は裁判になる前に出願戦略や交渉、契約で手を打ち、クライアントを訴訟当事者にさせない責務がある。

たまに訴訟業務を自慢話のように語る弁理士がいるが、

私にいわせれば、無責任極まりなく、自己満足で仕事をしている3流以下の弁理士である。

|

« 社労士試験に参戦! | トップページ | 大企業のお粗末な特許戦略で外国に技術だだ漏れ… »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 特定侵害訴訟代理業務試験について:

« 社労士試験に参戦! | トップページ | 大企業のお粗末な特許戦略で外国に技術だだ漏れ… »