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2019年1月20日 (日)

特許事務所の経営モデルの不思議

特許事務所に弁理士が勤務すれば、どれくらい報酬が得られるか?

とても気になるところです。

やはり、現在でも、特許事務所の給与体系は、出来高制をベースにしているところが多いと感じます。

今日は、この意味を少し深く考えてみたいと思う。

出来高制と言えば、特許事務所の経営者側と所員側にとって公平の気がしますが、

例えば、売上の1/3という基準があるとして、

この1/3の根拠を示していないと公平とはいえません。

この数字を設定したのは、特許事務所なら、なぜこの数字なのかを説明し、これに納得できる弁理士が雇用契約にサインをする。

これが当たり前の姿です。

特許事務所の経営者と弁理士は、あくまでも対等であるべきです。

その数字が1/2なら、その根拠を示す。

根拠を示さなくても良いのは、売上額=給与となるときだけなのです。

しかし、その前に出来高制をとる事務所の経営モデルとしての致命的欠陥を指摘します。

それは、出来高制は、体力のある若者にとってだけ有利だということです。

弁理士業務のアウトプット力は、経験と体力の両輪に影響するのです。

若くても経験がないと、生産できても、品質レベルで不合格になる。

ベテランで経験者なら、品質が良くても、体力の壁を感じることになる。

この点を年齢的な視点から考えると、

35~50歳くらいがアウトプット力のピークレンジ。

50歳以降は、体力の低下により漸減していき、60代以降は急降下する。

特許事務所が出来高制を採用しているとすれば、

自身が高齢者の弁理士になったとき、その事務所にとってはお荷物になる。

なぜなら、アウトプットの弱い高齢者の高給を維持するために、若手の取り分を制限していれば、若手が誰も入ってこない事務所になり、高齢者中心の人事バランスになるのだ。

高齢者だけの特許事務所には、依頼者側のリスクテイクを考慮すれば、仕事が来なくなることが予想される。

そのサイクルは、今は若手でも、将来高齢者になれば、

肩たたきの現実が自分に回ってくるのだ。

それであるにもかかわらず、

特許事務所の経営モデルとして、出来高払いを約束している事務所が多いことに疑問を感じざるを得ない。

出来高払いは数字で表れるため、経営者にとって馴染易い反面、

経営戦略としては稚拙であると言わざるを得ない。

特許事務所に雇われる弁理士も、将来事務所に残るのか、独立するのかをよく考えて入所を決めるべきである。

仮に事務所に定年まで残り、退職後は年金で生活するとした場合、

出来高制の事務所は、将来、高齢者となった自分の給与が減ることを意味する。

多くは事務所内の風当たりの強さを感じ、退職することになると思われる。

例えば60歳で退職して、当然、どこにも採用されない年齢だから、独立して自分で事務所を経営する。

しかし、60歳の弁理士を相手にする依頼人はどれだけいるだろうか?

有名な大先生なら良いのかもしれませんが、多くは世間的に無名の戦士なのだから、

現実は厳しいのではないだろうか。

そうなれば、年功序列の特許事務所の方が魅力的であると考える要素も出現する。

しかしながら、所員の将来のことを考え、年功序列の給与体系を採用する事務所の場合、

若手の優秀な弁理士の多くにとっては、その事務所は魅力的でない。

したがって、年功序列の給与体系を採用する事務所には入所せず、

より多くの報酬が得られる可能性がある出来高払いの事務所を選択する。

自分が高齢者になったときのことを考えれば、バカだと切り捨てることは容易でも、

これが現実ではないだろうか?

さらに言えば、若手で優秀な弁理士は、定年まで事務所に勤務しようとせず、やがて独立を望むのだから、将来のこと云々を持ち出しても、まるで説得力がないのだ。

年功序列の給与体系を採用する事務所は、給与以外の点で魅力的でなければならない。

業界をみれば、働き方改革はこの上なく追い風になる。

出来高払いの事務所は、多くは高めに自身の報酬を設定しており、いずれノルマ地獄に陥るはずだから、

これを逆手にとって仕事以外のことを充実させた所内制度を作るとか、事務所内の人間関係を良くする取り組みを考えるとか、給与以外の点で所員に魅力的な場づくりを考える。

個人的には、テレワーク制度を採用するのも良いと思う。

現在も、特許事務所の福利厚生制度は、下町ロケットの佃製作所並みというブラックレベルが多く、

少しの改善でも、魅力的な特許事務所に見えるはずである。

特許事務所は一部の大手以外は、個人商店と同じである。

事務所名称の法人と個人の差異は参考にならない。

端的に言えば、

特許事務所に依頼人からの仕事を一局に集め、所員にばら撒くシステムである。

特許事務所の役割が、卸問屋という解釈が可能なら、

勤務する弁理士が、卸問屋をスキップすることを考えるのも必然である。

その一例が独立として現れる。

私が思うに、

年功序列制度が向く特許事務所は、少なくとも所員数100人(できれば300人)を超えるような体力のある特許事務所になる。

少なくとも、数人~数十人の小さな事務所では、資力・体力的に出来高制度を採用するしかないのだろう。

大きな事務所に見えても、

特許事務所の経営モデルは、意外な程、脆弱なことが多いのだから、

特許事務所に転職する弁理士は、報酬の旨みだけではなく、自身の人生に照らしてながら、多くの視点から検証することをおススメする。

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