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2019年6月13日 (木)

インドへの移行手続

 

 弊所では、インドへのPCT移行手続が増えています。

 

 私は法制度が未だ完備されていないインドへの特許出願はおススメしないのですが、クライアントがインドで権利化するというご希望で、内外出願を受任致します。

 

 インドへの手続は英語になるため、欧州や米国へ移行する場合には、翻訳を流用できます。

 

 ただ、2つのハードルがあります。

 

 一つは、優先権証明書の翻訳が必要である点

 

 PCTなのだから、優先権証明書の翻訳が不要なことが多いのですが、インドだけは提出しておいた方が良いという制度です。

 

 直に出願却下にはなりませんが、やはり現地代理人の見解では必ず提出しておくというものが多いです。

 

 英訳は別途翻訳費用が必要になりますし、コストが高くなります。

 

 しかし、優先権証明書の翻訳費用を削減する方法があります。

 

 それは基礎出願とPCT出願を全く同じ内容にすれば、PCT移行時の翻訳を基礎出願の翻訳としても流用できます。

 

 なので、国内の特許出願はPCT出願を想定した書き方がここでも有効なのです。

 

 もう一つは、他国の審査状況や特許取得状況を提出しなければならないこと

 

 インドの審査が通常10年近くかかりますので、この時点では他国で特許に至っていることが多いのです。

 

 その場合には、特許に至ったときのクレイムの英訳が必要になります。

 

 ということは、やはりPCT出願のサーチレポートの段階で全てA文献が上げられていることが好ましい状態で、

 

 必要なら積極的に19条補正をしておくことがインド移行後の流用という点で良いと思います。

 

 しかし、19条補正は行わないというケースの方が多いのでしょうかね。

 

 新興国ではサーチレポートが審査ベースなので、評価が高いことに越したことはありませんが、

 

 欧州や米国は、自己の特許調査により、別の引用例が添付されて拒絶理由通知が発送されてきます。

 

 米国の審査なんて、本願発明とは大きく乖離した内容の先行文献が引用されてくることが多く、謎です。

 

 欧州のEPOからは、ドイツ語文献がたまに引用され、難儀しますが、機械系の分野なら図面からある程度、発明の内容を把握できます。

 

 あと、特殊なのは、特許査定の前に、口頭審問召喚が行われるということでしょうか

 

 拒絶理由通知に対し、補正書・意見書で対応すると、やがて2度目の拒絶理由通知のような内容が指摘され、口頭審問召喚の開催が連絡されます。

 

 これは審査官と現地代理人で面談して、不備を訂正・解消するための制度です。

 

 EPCにも似たものがあると思いますが、インドではケース毎にマスト的に開催されます。

 

 これを通過すると特許査定ですが、下線を引いた対応には、コストが発生します。

 

 これがインド特有のコストであり、他国にはない費用になります。

 

 インドの特許制度はかなり特殊なので、移行前に見積もる場合には他国の1.5倍くらいの額を示しておいた方が無難です。

 

 下線で示した3つの対応だけでも、50万円~100万円に上ることは少なくないと思います。

 

 最後に忘れてはならないのは、インドの特許審査は遅いということです。

 

 移行後、10年経過なんてザラです。

 

 

 つまり特許への投資を回収する機会がかなり後になりますので、この点もご留意くださいませ。

 

 

 

 

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