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2020年2月22日 (土)

特許庁と裁判所では正反対のマインドに徹する

以下はフィクションのストーリですが、私が注意したい論点をあてはめてみます。


発明者兼特許出願人にありがちなことかもしれませんが、

特許庁の面談では、特許査定に向けて審査官や審判官と議論バトルすることがあります。

このとき、発明者が同行することも少なくありませんが、似たような引用発明に対して技術的に優位な点を主張していき、なんとか特許査定にすることを試みます。

これは当然の流れであり、自分の発明は唯一無二の発明で、社会に貢献する度合いが高いことを自信をもって主張することは至極当然のことです。

ここのステージでは、発明者と弁理士のマインド・ベクトルは同じです。

そして、念願の特許査定が降り、特許の設定登録がなされます。


その後、他社が類似の技術を開発して販売していたところを偶然に発見し、特許権侵害訴訟を提起する運びになりました。

ここで注意すべきことは、被告製品(イ号製品)に対して本件特許が技術的な効果が顕著に高く、効果も優れていると主張することです。

発明者の心理からは、自分の特許は被告製品よりも優れているということを意気揚々と主張したいのでしょうが、これを裁判所で主張すれば、被告製品が技術的範囲に属せず、非侵害と認定される方向に進むということ。


なるほど特許権者の特許は被告製品よりも格段に優れているということですね、それなら当然、あなたの特許と被告製品は別発明になりますよね?

という心証が形成されてもおかしくありません。

特許権者である発明者は自分の発明ないし特許が素晴らしい、こんな素晴らしい特許を模倣するなんて許さない、と言いたいのでしょうが、裁判所は、それなら別発明という認識にします、という流れになることは、容易に想像がつきます。

このとき弁理士や弁護士は、弁解したいけれども、発明者が上記のように暴走すると、その場の雰囲気から、敗訴の文字がちらつくのです。

あーーー、終わったと。

はい、そうです、裁判所での主張は、発明者と弁理士・弁護士のマインド・ベクトルが正反対になるんです。

裁判所においては、本件特許が被告製品に対して特別視してもらっては困る場なのです。


特に裁判所で発明者が議論に参加する場合には、発明者と弁理士・弁護士が主張の方向付けを打ち合わせしておく必要があります。


裁判所での特許権侵害訴訟と特許庁での特許無効審判が同時に係属した場合では、もっと複雑な心理状況になると思います。

一方で同じ・似ている、他方で顕著に相違する、ということを平然と主張ないし反論していきます。

もちろん主張・反論の根拠やロジックが重要なのは言うまでもありませんが、主張の方向性を間違えると、努力が無に帰します。


そういう意味では、訴訟当事者は、原告も被告も、二枚舌役者になりきる必要があります。

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