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2006年12月 2日 (土)

論文試験における「心証点」!(その2)

論文試験における心証点について、いち答案添削の講師の立場から書いてみます。

前回は、ヘビー級クラスを書いたので、

今回は、ミドル級クラスのミスについて。

①法律用語を正確に書いていない答案

弁理士試験は条文を問う試験です。このため、条文の知識は当然に要求されますが、いくら文言解釈や判例を頭の中で知っていても、法律用語を正確に書けないと、説得力がないばかりか、素人めいた答案になってしまいます。試験官としては、実際に、クライアントを相手に法律用語ではない適当な造語?を用いて説明する弁理士をよく思うはずがなく、このような人は、不合格にして、もう少し勉強してもらおうと考えるのが普通だと思います。私が添削をしているときによく出くわすミスを一部紹介すると、「特許権の技術的範囲」、「技術的範囲が抵触する」、「特許権の実施」、「特許の侵害」、「発明の侵害」、「意匠法3条2項を進歩性」、「商標の業としての使用」、「商標の実施許諾」など、思わず?と思ってしまう表現が結構目に付きます。これらの表現は、全て条文に答えが書いていますので、条文を注意して見れば未然に防げますが、普段から条文を素読しない勉強をしていると、つい感覚で書いてしまい、上記のようなミスを当たり前に起こしてしまうわけです。いわんとしていることは解りますが、弁理士は法律家という位置づけなので、条文と運命を共にするくらい、条文の文言も勉強して欲しいと思います。

②問題と解答の対応関係が明確でない答案

これはある意味、最も危険なミスかもしれません。実際の論文本試験の採点も、そんなに時間はかけられていないはずです。私の受験時代には、1通5分と言われていましたが、根拠はありません。いずれにしても、1通の答案の採点に長時間はかけられないと思います。このため、例えば、小問形式の問題などでは、答案用紙のどの部分にどの問題に対する解答が書かれているかを明確に示しておく必要があります。解答の順番は、問題の順番に合わせて解答していくのが原則ですが、対応関係が明確になっていれば、解答する順番を問わない、と本試験(平成13年)の試験会場で試験官が言われていました。いずれにしても、対応関係をわかり易く、示しておく必要はあります。また、小問形式の問題では、答案の始めの「事例分析や定義趣旨」は書く必要はなく、各論の中で必要に応じて書いていけば十分だと思います。

③事例分析と書かれているのに、分析されていない答案

事例問題では事例を整理するために、答案の始めに「事例分析」などの項目が挙がることがあります。この項目は、項目名の通り、「分析」をする項目であって、問題文の条件をただ写すだけの項目ではありません。試験官に問題の条件を示す必要があるという理由で書かれているのであれば、その心配は不要です。試験官は、問題文を知っているからです。また、事例の整理をするという理由で書かれているのでしたら、さらに一歩進めて、各論で挙げる項目につながるような検討をしてください。いずれにしても、ただ、問題文の条件を写すだけでは、時間と労力と答案スペースの無駄にしかなりません。模範レジュメに挙げられているように、事例の分析に徹するように意識して欲しいと思います。

④記載量のバランスが悪い答案

問われている項目を挙げて説明しているのですが、記載量のバランスが悪い答案があります。極端な例を挙げると、前半(1頁、2頁)は略パーフェクトな内容がみっちり書かれているのですが、後半(3頁、4頁)にはただ項目が挙げられているだけの答案。添削をしていて、答案用紙をめくると、がっかりすることがあります。勿論、問われている項目が複数あっても、項目間で軽重があるのは当たり前の話です。しかし、それも限度はあります。先に挙げた極端な例では、後半に時間不足になった、あるいは知識不足であった、という理由が見え見えであり、どうしても評価が低くなってしまいます。この対策として、複数の項目が問われている場合、①重要な項目を先にあげていく、②重要な項目は、事例のあてはめ、条文の検討などを充実させる、③重要度は下がるが関連する項目は、最低限条文レベルの説明を書く、など優先順位をつけていくと、タイムオーバーの心配はなくなります。実現性の低い項目は、後回しで十分だと思います。

⑤矛盾する内容の項目でも挙げておく

また、別の問題として、例えば、特許権侵害で警告がきた場合の措置で、否認と抗弁を挙げるとします。このとき、否認では技術的範囲に属しないと主張しつつ、抗弁では先使用権があるなど、矛盾する内容でも書くべきなのです。先使用権を有することは、換言すれば技術的範囲に属すると認めていることになり、内容が矛盾しますが、それでも書く必要があります。各項目同士のつながりに対しては、そんなに神経質になる必要がないと思います。筋を通す人には理解されないかもしれませんが、内容が矛盾する場合でも、○○の場合には、など、仮定的な表現を適宜挿入しておくと、流れがスムーズになるものと思います。矛盾する内容を避けるために、大きな項目落ちになってしまうという事態は避けたいものですね。

以上、ミドル級クラスのミスでした。

ライト級クラスのミスについては、次回にアップさせて頂きます。

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