特許明細書における表現について
特許明細書の日本語は、非常に読みにくいものです。
もちろん、文章の上手・下手もありますが、
一文あたりが長く、しかも難解な技術的内容を伴うことが一因だと考えます。
昔は、特許用語たる悪名高い表現がありました。
今では少なくなっていますが、広辞苑にも掲載されていない特許用語は、百害あって一利なし、とも言えるべき害悪です。
ここで、特許明細書の文章が明瞭であるか否か・読み易いか否かを知るための方法を紹介致します。
とは言え、
これは、特許明細書を他人に読んでもらう事に他ならないわけですが、とりわけ翻訳者の方に翻訳して頂くと、自分の文章の出来・不出来がよくわかります。
幸い、特許明細書は、外国ヘ出願する場合も多いので、例えば、英語の翻訳者に英訳してもらいます。
標準的なレベルの翻訳者であれば、翻訳に迷ったとき、日本語の意味が不明なとき、日本語の誤記があるときなどに、質問してきます。
このとき、自分の文章のレベルが判明します。
この文章のこの部分はどこにかかるのか(例えば、文全体、それとも形容詞あるいは動詞のみ)、日本語の表現は○○となっているが、△△のように翻訳しても良いでしょうか?
このような類の質問があれば、それは日本語が客観的に理解されていない証拠です。
日本語は、主語に「人」を用いる言語ですが、
英語では、物を主語として表現できる言語です。
日本語と英語は、発想が違いますので、必ずしも1対1で対応しません。英語表現が存在しない日本語表現もたくさんあります。
しかし、これらを差し引いても、日本語力を高める余地はおおいにあります。
自身でできる日頃のトレーニングのひとつとして、英語の観点から日本語を考えてみるのもひとつのアプローチです。
例えば、誤訳集なる本を購入して、これを通読するだけでも良い勉強になります。
日本語から英語への(技術)翻訳で、誤訳が生じる場合、それは、英語力の問題よりも、翻訳者の日本語読解力が原因となっています。
そして、翻訳者の日本語読解力を左右しているのが、原文である日本語の文章です。
特許明細書では、元の日本語明細書の内容に改善の余地が多いにあるのです。
例えば、
は面白い本だと思います。
私には、翻訳ミスを指摘している本ではなく、日本語の不備を指摘している内容に思えます。
このような日本語の文章を書くと、このような翻訳ミスにつながるといった観点から参考にすると面白いと思います。
英語力は当然必要だけど、肝心な日本語に難があれば、正確な翻訳に至りません。
私は、日々の反省も踏まえ、このような観点からのトレーニングも必要だと考えています。
自分の文章が自身が思うほど他人に通じないものだということが、良く判ります。
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