好評!~西村流・素人に対する意匠の類似範囲の説明~
意匠権の効力や意匠出願のメリット・デメリットの説明を、クライアントから受けることが多々あります。
分野的には、ローテクの分野で、今さら特許がとれなさそうな分野が多いかな。
次の候補として、意匠に矛先が向くわけですが、
意匠権の類似範囲の説明をするにあたり、条文通りの回答していては弁理士としてダメなんですよ。
弁理士試験の口述試験では、条文通りで◎ですよね。
実務では、×になります。
だって、クライアントに理解できないし、イメージもわかないから。
意匠に疎い人が、意匠の類似範囲について、特許庁の審査基準を持ち出しても、そんなの誰が知るか?
になるのです。
では、西村はどのようにイメージ付けしているのか?
私が、メイク(化粧)にたとえた例を、わかりやすく説明します(学説でいえば修正混同説です)。
「例えば、スッピンのときと、メイクしたときで、同一人物でも印象が変わりますよね。でも、そんなに大きくは変わらないでしょ。松田聖子さんが中森明菜さんにならないように。スッピンのときの顔がもつ美しさは、他人にイメージづけされているです。で、そのスッピンの美は、毎日基本的に同じもの。この美を意匠では美的思想というのです。メイクした後、かなり雰囲気が変わったように印象付けられますが、でも実は、スッピンのときの特徴をベースにしてそのままその美を引き継いでいるんだけなんですよ。ふつうの人がメイクしても、トップモデルと間違われないのと同じで、スッピンの美の特徴の上に足されたメイクで、他人が受ける印象を少し変えているだけなのです。でも、いくらメイクしても無理ってあるのです。トップモデルと同じ顔にはならないように。このメイクで同一人に対する他人の印象が変わる範囲を『意匠の類似』といいます。印象が変わりますが、同一人であることは認識されている。西村がいくらメイクしても、西村であることはバレてしまうように。ここまで、意匠の権利範囲として保護されるイメージです。
しかし、双子の人同士なんて、スッピンのときの顔が全く同じですよね、区別できずに、他人は間違います。そうなるとメイクした後もスッピンのベースの部分が、人を区別できる決めてとして参考にならないんですよ。他人は、本能的にメイク後の顔だけで区別しようとします。双子のメイク後の顔にフォーカスをあて注意深く比較します。そうなると、僅かな違いでも、両者の区別の決めてとして持ち出すことになります。この僅かな違いに注意する現象は、僅かな違いで両者を区別しているという意味で、実は意匠の類似範囲を狭く解釈しているのです。物品のデザインでも、ありふれたデザインならこのような解釈になる。そうなれば、僅かな違いで他人は区別でき、同じイメージに該当しなくなるのです。‥‥」
メイク前後をたとえにした説明ですが、
クライアント受けの良さから、我ながら傑作だと思っている今日この頃ですo(*^▽^*)o
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