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2018年1月22日 (月)

特許権価値評価の実務

ここ数年、特許権の価値評価の実務を経験する機会が増えています。

弁護士や弁理士からの依頼がメインです。

被告の財産を少しでも換金して補填するために、特許権の価値の算定が必要になります。

特許権の価値評価は弁理士の専権業務ではありませんので、

公認会計士や中小企業診断士、不動産鑑定士など、他の資格所有者でも可能です。

しかし、弁理士が特許権の価値評価を担当することにより、

例えば、技術理解の正確さと、将来における当該技術の展望を精緻に推測を精緻することができることに加え、

特許権の有効性の判断に起因して、権利範囲を精緻に画定でき、それを特許権の価値に反映させることができます。

特許権を形成するのが弁理士の専権事項なら、その特許権のことを一番良く知っているのも弁理士のはずです。

自分が生み育てた子供のことを一番よく知るのは母親であるように、

特許権のことを一番理解しているのが弁理士なのです。

これらの理由で、弁理士が特許権の価値評価を担当するのが最適といえます。

しかしながら、裁判所からの依頼時には、

鑑定評価人である弁理士の報酬との費用対効果を検討しなければなりません。

裁判になるくらいですから、当事者に金銭的余裕が望めないことも多く、鑑定評価人である弁理士の報酬が高過ぎれば、依頼することでかえって赤字(依頼しなければ残るであろう金銭の目減り)になってしまいます。

しかし、弁理士報酬を低くすれば、それだけ評価に費やす時間と労力も限られるわけですから、価値評価に悪影響が出てしまうおそれもあります。

それが1つの課題点です。

もうひとつは弁理士が特許権の価値を1000万円と評価したと仮定しましょう。

ここで、重要なことは、その特許権は1000万円で売却できるかといえば、そういうわけではないのです。

譲渡には、どのような対象でも、

売り手と買い手の交渉が取引慣行としてありますから、

買い手は少しでも安く買いたいわけですし、売り手は少しでも高く売りたいのです。

そうなれば、特許権の価値が1000万円だとしても、

実際は100万円で売却したことになってもおかしくありません。

特に裁判では少しでも換金したいわけですから、何事もゼロよりは多い方がマシと判断します。

足元をみられて、10万円なら購入してもいいよという結果になるかもしれません。

特に破産管財人が関与する特許権の譲渡は、

IPS細胞の基本特許のような有望な特許権以外は、通常、買い手はないのです。

そうなれば、特許権の価値評価制度自体の存続が危ぶまれますので、

裁判所絡みではなく、今後増えるであろうM&Aのデューデリジェンスでの活用が期待されます。

しかしながら、そこは公認会計士の実務もかなり強い領域ですので、

特許価値評価人である弁理士は財務や管理会計の知識も必要になります。

そのようなことを最近、実務をしながら、つくづく感じるところです。

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