【教科書に載っていない】拒絶査定不服審判での注意点!
手続補正書とともに拒絶査定不服審判を請求すると、
審判官による審理の前に、審査官が再審査します。
そこで、特許査定になれば良いのですが、拒絶理由が解消していないという心証になれば、
審判官にバトンタッチされます。
そのときに「前置報告書」というのが特許庁の内部で報告され、
再審査での審査官の心証が記載されます。
このときの心証は、拒絶理由が解消していない心証なのであるから、出願人にとってはネガティヴな要素です。
しかし、この前置報告書は代理人弁理士や審判請求人には送達されません。
では、どうやって内容を確認するかというと、
例えば、特許庁のプラットホームから審査状況に入り、確認することになります。
なので、常にチェックしておかないとダメなわけです。
なぜチェックをするのかといえば、
前置報告書は、出願人にとって不利な情報ですから、反論したいわけですね。
審判官に反論を聞いて貰いたいわけです。
このような審査官の再審査の結果は、従来では審判請求人に通知されていたのです。
審尋という形で、意見を申し立てる機会が付与されていた。
しかし、現在制度では、迅速化の観点から通知が無くなり、スルーしておけば、いつの間にか、審理終結通知が発送されて、もう終わりますよ、と宣告されるのです。
何か反論したいことはあるのだけど、意見を申し立てる機会がない、という状況になるので、常に、審判の状況を把握しておくことが重要なんだよ。
これが1つ目の注意点。
しかし、問題は次のです。
早期審査を請求して、公開される前に、審判に継続することがあります。
このとき、審査状況をプラットホームで見ようとしても、見れないのだ。
まだ公開されていないので表示不可能と出る。
さて、どうする?
審判官氏名通知が届いた頃は、前置報告書が出ているハズなのですが、
インターネットでは閲覧できない。
この場合には、仕方が無いので、お金を支払って、閲覧請求しなければなりません。
これが2つ目の注意点。
また、前置報告書では、審査段階で見たことがない引用文献が引用されて、
独立特許要件違反とされている内容も多々あると思います。
かかる件では、
一度も、審判請求人に理由を通知して意見を申し立てる機会が付与されないまま、拒絶審決に至ることは、手続上の違法と判例で示されました。
多くは、特許審決になり、その場合は問題ないのですが、
これが、審判請求人に不利な拒絶審決であれば、審判手続上に重大な瑕疵があると認定されているのです。
これが3つ目の注意点。
これらの点については、代理人や審判請求人は注意しておく必要がありますね。
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