インド特許の実施状況報告書
インドの特許制度の特殊性として、発明に対する実施報告書を提出しなければならないことが挙げられます。
この実施報告は、毎年1月から3月末までに提出しなければならないものですが、前年度の1月~12月の実施確認期間における発明の実施状況を説明するものです。
特許査定になった時の次の1月~3月から毎年提出が義務付けられます。
実施状況報告書を提出しない場合には、強制実施権が設定されたり、特許権が消滅するようなことがうたわれていますが、そのようなことが実際起こったことはないようです。
日本の特許制度でも、不実施特許に対する通常実施権の裁定がありますが、それと似ています。
当然ながら、特許査定になったはがりで実施していないため、実施していないという宣言をしなければなりません。
問題は、不実施の理由です。
今回は、実施確認期間のおわりに特許査定になりましたので、『特許査定に至るか否か不明な時期であり、実施に向けた話をしていない』としました。
次年度については、このフレーズは使えないので、別の理由を考えます。
次年度についてもおそらく実施に向けて具体的な話が進んでいない可能性があるため、そのときの理由が問題です。
現地代理人や書籍を参考にすると、
なんと、実施状況報告書すら提出しないケースが約2割もあるようです。
報告書を提出しても、発明を実施していない理由については、
・『営業秘密である』として理由を述べないケース、
・『特許製品を開発中である』という理由を述べるケース、
・『商談中である』という理由を述べるケース、
・『実験中である』という理由を述べるケース、
これら以外でも、
『(不実施の)理由は特にない』と言及するケースもあるとのこと。
インド特許庁としては、特許が維持されていれば年金が入るわけで、無碍に取消に至るようなことはないようですが、
高い費用と長い時間をかけて特許査定になった暁に、
このような実施状況報告書のペナルティをちらつかせられると、滅入ります。
事実、大きな実害はないとしてもですよ。
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