スタートアップ企業は特許を取得すべからず
企業を立ち上げる時、知的財産が気になる起業家が多いと思いますが、
知財といっても、特許、実用新案、意匠、商標等、多くのタイプの異なるものがあります。
あなたの会社がお店なら、商標は看板になりますから、積極的に取得することをおすすめします。
資金はないが時間がある場合には、弁理士事務所に依頼しなくても、日本弁理士会がやっている無料の弁理士相談会があるため、そこで相談されれば良い。
デザイン重視の商品を展開される場合、意匠についても同様で、取得するか否かを検討する価値があります。
問題は、特許です。
ビジネスモデルそのものが特許になることはないため、特許法や審査基準に基づき、何かの物や方法という形、あるいはプログラムという形で、権利のカテゴリーを決めないといけませんが、
私が問題にしているのは、今のタイミングで本当に特許を取得することが得策なのか否か。
特許を取得する場合、弁理士に依頼すると、出願から権利化まで約100万円の費用がかかります。
もちろん、特許庁相手の仕事ですから、拒絶理由通知の有無や回数によって、これよりも安くなることもあるし、高くなることもあります。
特許の場合、商標や意匠と異なり、どんなに調査しても、少なくとも1回は拒絶理由通知が来ると思ってください。
なお、自分で特許明細書を作成して出願する方法もありますが、拒絶になったり、権利範囲の問題もあるので、おススメしません。
それで、弁理士に依頼するとして100万円の費用が発生するという前提で、起業時に100万円を特許に投資する価値があるか否かです。
もちろんお金だけではありません。
特許出願すると公開されるため、自分がやろうとしている内容やノウハウが公知になる可能性があり、模倣者を生む可能性もある。
仮に広い範囲で権利取得できたとして、相手を特許権侵害訴訟で訴えるとした場合、弁護士や弁理士に1000万円以上のお金を支払う資力ありますか?
裁判するのも多額のお金がかかるのが現実です。
先ず、あなたの会社が3年後、5年後、存続している可能性は極めて低いことを自覚して頂きたい。
そして、あなたも例外なく凡人であることも自覚して欲しい。
マスメディアを賑わしている若手起業家の会社のようにトントン拍子で大きく成長すると思っていたら、大間違いです。
5年後存続している確率は、どんなに甘く見ても20%以下が現実ラインだと思います。10年後の存続は5%以下でしょう。
特許に頼る起業家の多くは例外なく凡人ですから、普通なら、5年後に潰れています。
何が言いたいのかというと、特許よりも、他の資本に注力するべきということ。
特許を気にする場合は、先行する特許の権利と抵触するか否かくらいでよい。
特許以外にも、ビジネスモデルの確立、資金の確保、販売プロモーション、マーケティング、人材確保など、企業力をつけるための多くのビジネス要素がありますよね?
これらのビジネス要素がとても重要です。
これにお金と時間と頭を使ってくださいということです。
これらのビジネス要素が模倣困難性につながり、あなたの会社の競争力の源になります。
特許は、権利を取得しても、一般公開されますし、独占できる期間も権利範囲も限られていますから、多くの制約がつきまとう。
先ず、起業した会社が5年後、10年後まで存続するための内部の強みを築く努力をすることです。
特許の取得に大金をつかうということは、多くの場合、得策ではない。
それと、士業に頼るのも良くないこと。起業時に見つけるべき士業は、税理士だけです。
甘い言葉に誘われてセミナーや研修、コンサルタントへの投資も起業時に不要。
助成金を申請したり、商工会で情報収集することがより賢明です。
これが、私が今までにベンチャー企業をみてきたところの真実です。
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