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2020年3月 1日 (日)

【知財高裁】美容ローラー事件の損害額推定で特許の販売寄与割合は根拠なし

名古屋の美容機器メーカーMTGの美容ローラー事件です。

私も美容ローラーを持っています。かなり高額でしたけど^^;


この事件は、名古屋のMTGが大阪のメーカーを特許権侵害で訴えた事件です。


さて、本件特許権侵害訴訟において損害額がどのように推定されるのか注目しておりましたが、

知財高裁の高部裁判長によれば、
特許による特長が製品の一部にしかない場合でも、販売で得られたはずの利益全額を権利者の逸失利益として推定できると判断されております。従前から論点になっていた、特許が寄与した割合を考慮して算定する一審判決の手法については、根拠がないものとして認められていません。知財高裁では約4億4千万円の損害賠償額が認定されている。

一方、一審の東京地裁では、
特許が販売に寄与した割合などを考慮して減額を認め、約1億1千万円の賠償が認定されていた。

特許法102条の解釈・適用については他の弁理士・弁護士に譲りますが、

以下、私の見解として一般常識の観点で考えてみます。


美容ローラーの構成に、特許の部分Aと、それ以外の部分Bと、があるとし、A+Bで完成商品として販売されていたという前提です。

一般の需要者・取引者は、仮に特許がAの部分でそこを気に入って購入したとしても、A+Bの代金を支払っているわけです。

特許Aの部分を得るために美容ローラーを購入したとしても、需要者・取引者はA+Bの商品の代金を支払うことを「了」としていたわけですよね。

そうすると、美容ローラーの構成上、AとBで区分けすることができたとしても、

商取引においては、需要者・取引者は、自己の判断でAを備えた美容ローラー(Bの部分があることも知っていたが)を、販売者の提示された価格で購入したことに他ならないから、取引の実情に鑑みれば、Aの部分によって美容ローラーの売買契約が成立したものとみることができます。

このような取引の実情・購入者の認識を考慮するに、

美容ローラーの構成上、AとBとに区分けすることができとしても、それはあくまでも美容ローラーの物理的な構成上での割合であって、

販売貢献とは次元の異なる問題に過ぎません。


侵害額の逸失利益の認定においては、もはや取引上の観点から算定すべき性質のものであるから、減額要素として、特許の寄与として製品の構成上の割合を根拠にするのは理由がなく、美容ローラーの販売における特許の寄与度の適用は全く意味をなさないわけです。


つまり、損害額の認定において、製品に対する特許の貢献の程度を考慮する余地は全くありません。


知財高裁の判決は極めて妥当な判決であり、弁理士として、また実務家として強く支持したいと思います。


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