« 知財×労務の実務トレーニング | トップページ | 【目指せ!社労士試験合格】労災法のブースト爆裂 »

2021年1月30日 (土)

特許の技術的思想vs意匠の美的思想

特許権侵害訴訟では、
技術的思想や技術思想という考え方がとても重要になります。

特許庁の実体審査では、本願発明の構成に新規性・進歩性があるかが問われます。
作用効果については、当該発明の構成を具備していれば、当然に実現されるものであるという立場であり、発明の構成が同じであれば作用効果も同じという判断になります。発明の構成が同じなのに、作用効果のみが異なるという主張は通用しません。

作用効果が相違するのであれば、その相違を作用効果として実現できる程度に、発明の構成を考える必要がある。いずれにしても、発明の構成に着目する意味で、技術思想という言葉は対特許庁として万能ではない。

裁判所に対する手続では、発明の考え方という根幹から考慮されるため、
従来技術・発明の課題・解決手段・作用効果がワンパックとなって、技術思想が認定されます。

この意味で、特許要件論と侵害論は似て非なるもの。


これに対し、意匠は、美的思想が考慮されます。

意匠の類似の議論では、

・消費者の混同を主とする混同説
・美的思想を主とする創作説
・これらの中間である折衷混同説

など、多数の説があります。


現在の特許庁の実務では創作説、裁判所の実務では、混同説~折衷混同説が主流になっていると感じます。


それでは、美的思想とはどのように解釈されるのか?


創作説は特許庁で審査の指針とされている説ですが、拒絶理由通知の対応で嫌でも考えさせられます。


しかし、意匠の願書や図面には、従来技術なる従来意匠が記載されていません。


このため、従来意匠の認定では、公知となる登録意匠や公知資料に記載された意匠などを調査し、認定していきます。本願意匠のこの部分はAというネットの資料、この意匠のあの部分はBというブログ記事のように、出願前に公開されている情報を意匠の要部候補から除外していき、出願前公知でない部分で本願意匠の要部を特定していきます。

出願前に自分で調査しておかないと、後に意匠が無効になったり、類似範囲が狭くなったり、使い道が悪い権利になってしまうおそれがある。

そこが、特許と違って、難しいところ。


意匠の創作者が自分で考え抜いてデザインを創作しても、従来意匠としてそのデザインが開示されていれば、意匠法により意匠の特徴とは認定されない。自分が主観的にデザインのポイントと思っていても、それが法的保護の対象になるかは別問題。

 

こう考えると、意匠法はなかなか面白い学問でもありますね。
権利行使をする側も、権利行使を受ける側も、それぞれに独自の攻撃防御の方法がある。

 

これを突き詰めると、
プロパテントの意匠戦略として、アンチパテントの対策として、日頃から意匠に対する接し方を考えていかなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

« 知財×労務の実務トレーニング | トップページ | 【目指せ!社労士試験合格】労災法のブースト爆裂 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 知財×労務の実務トレーニング | トップページ | 【目指せ!社労士試験合格】労災法のブースト爆裂 »

2022年6月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
フォト

西村知浩の特許事務所

無料ブログはココログ