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2021年3月17日 (水)

商標の意見書は難しい

商標の意見書は、時として、とても難しい。

特許の場合は、補正するにしても、反論するにしても、技術的な相違が前提にあり、そこが糸口となって議論を展開することができる。

商標の場合は、双方の主観と現状あるべき事実に基づき、こう思う・ああ思うの世界。

訴訟で裁判官の心証をこちらに傾ける術が必要になるという意味でどこか似ている。

 

要は、商標の意見書では、議論の前提部分があるはずなのに、それが客観的ではなく掴みどころがないのだ。

審査官は、これ登録するとマズいなという主観を結論にして、その結論につながる理屈を審査基準にあてはめる。

特許もそういうところがあるけれど、技術的な相違があれば、より客観的なので、反論し易い。

 

それでは、商標の場合、客観的なものとして、使用実績がある。

現在、これだけの使用の実績があり、多くの需要者に自社の商標として認識されている実態がある。

これを示す証拠を提出すると、登録査定への審査官の心証を少しこちら側に傾けることができる。

あくまで、自社の企業努力により、一定の信用が既に市場に形成されている。

だから、商標法の目的からして、商標法による保護を受けられるべきとする。

これが前提となる。

 

ただし、使用の実績がなければどうするか?

これは、多くの判例や審決例をひもときながら、その中で判断基準になっているものを本事例を適用させて検討する。

少し前から、商標の冒認出願する輩が多く、それらと混同されてしまうおそれがあるので注意。

 

その意味では、

詳細な事業計画書や登記簿や履歴事項証明書などを用意し、このような事情で商標法による保護を求めていると説明することも一案。

事業計画書等は、指定商品に多くの類似群コードを含む場合だけ提出するのではない。

商標法による保護の目的として、心証という土台にのせるための重要資料でもある。

 

それにしても、商標法の意見書は、難しいという結論になる。

意匠の意見書を苦手にする特許弁理士が多いと思うけれど、意匠の意見書には独特の型があり、それを徹底して覚えることに尽きる。

つまりは、意匠も、特許と同様に、客観的事項の議論で足りる。

 

これに対して、商標の場合は、市場の読解力と説得力が必要になる分だけ、難易度が一段と高くなる。

そういう意味もあり、商標の意見書は、特許以上に多くの手間とサーチを要し、弁理士報酬も高く設定したい気持ちがある。

商標だから安くと考えている人は、商標の実務の大変さをわかっていない人だ。

 

まぁ値段のことはさておき、

商標の意見書は多くの事例を研究するときに、なぜこの部分の主張をしているのか、よく考えてみることが重要。

私は、条文に沿った、審査基準や論点基準・反論視点を独自に作り、座右の書としている。

これが実務でモノをいうのだ。

 

 

 

 

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