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2021年7月22日 (木)

「トランジスター」と「トランスジェンダー」は商標の類似か?

「トランジスター」と『トランスジェンダー』は、商標の類似になるか?

大勢の実務家からすれば、おそらく非類似の商標と認定されそうです。

しかし、私は、指定商品等との関係によっては、商標の類似に該当する、と思っています。

商標の類似の基本的な判断基準は、外観・称呼・観念の3要素です。

両者は3要素が異なるため、基本ルールでは商標の非類似と認定されます。

ただし、外観と称呼の類似性、トランスジェンダーは新しくできた言葉という特殊性(現時点では日本国民全体の馴染みが薄い)から考えると、外観類似、称呼類似、観念非類似と認定することができます。

ところで、両者の外観もカタカナ文字で6文字以上となる一体不可分の文字列で形成されており、称呼も「ス」と『ェン』、「タ」と『ダ』の違いがあるのみ。しかも、これらの違いは、外観・称呼の認識時に注意を引く先頭の文字と最後の文字ではなく、ほとんど意識しない真ん中に位置する文字であり、認識されにくい。横長で一体不可分の名称については、読み始めの部分と最後の部分を視覚的に認識して、後は読み手の知っている概念に結びつけて瞬時に脳みそで認識しています。要は真ん中の文字をよく見て発音する方法は、日常的ではあまりとらない。

ネット社会の全盛時代において、称呼による識別の機会が少なくなり、称呼のウエイトを他の外観・観念のそれよりも高くして、商標の類否を判断する合理的な根拠が薄らいでいるという特殊な事情があります。ネット社会では、むしろネット画面を見て外観を介して視覚的に判断することが多くなり、外観のウエイトを高くして商標の類否を判断することが合理的である。


一方、『トランスジェンダー』という文字は、つい最近メディアで使われ出した新語であり、いわゆる性的指向を意識する業界人以外の層の認知度が低いといえます。


このような事情から、外観の類似性が、その他の判断要素を凌駕するものであり、商標の類似に該当するおそれありといえます。

仮に両者は特許庁のルールで非類似として登録されたとしても、裁判所に訴えた時に、類似すると判断される可能性もあると思います。


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