昭和から平成の前半まではプロダクト主義で、高機能・高性能の商品が求められていました。
それが、令和に入り、完全にサービス主導になりました。
商品としても機能を高めるというよりは、いかに安く提供できるか。
消費者のニーズをいち早く取り入れ、いかに商品に転換するか。
この二点に絞られます。
これまでの日本の製品戦略は、高機能・高価格でしたが、平成に入り、これらの日本製商品は、中国・韓国などのアジア圏で全く売れなくなりました。
現地では、性能がそこそこ、安価でデザイン重視のものが受け入れられたのです。
同時に、中国や韓国の企業がいち早くキャッチアップして、世界的企業に躍り出ます。
日本人は日系企業の商品が大好きですが、これも平成の後半から令和にかけて、日本人の嗜好が変化していきます。
もう性能は十分に良いので、より安価に、よりスタイリッシュな商品が求められ始めました。
そういう消費者の需要の変化から、企業の中央研究所は固定費の垂れ流しとして不要論まで出始めています。
このような社会現象は、知的財産、特に日本の特許出願件数に反映されてきます。
機能や性能を追いかけなくなれば、特許出願も少なくなるわけです。
加えて、消費者ニーズ・商品サイクルが早くなりましたから、特許で20年保護する必要性がなくなります。
なので、知的財産制度は、この社会現象に合致させようとするならば、特許法でビジネス方法やサービスの方法を保護対象とするしか対策がありません。
サービスに移行すれば、商標が重要になりますので、商標出願の件数が伸びているということも説明できます。
日本の特許出願件数はリーマンショック後に激減し、それから漸減しています。
近い将来、年間20万件を下回ることは予想できます。
それは何よりも、社会が時代とともに変化してきたからです。
知的財産が重要なことに揺るぎはありませんが、その価値が一部の局面に限られるということになっているのです。
つまり、特許なくても、事業できるよ、という意識が強くなっているのです。
それなりの機能の部品は格安で手に入る時代。
その安価な部品をうまく組み合わせて商品にする。
デザインを重視するといっても機能美・自然美が好まれる時代なので、やはり特許という方向には至らないのです。
日本と同じような技術立国のドイツの特許出願件数を参考にしてください。
すごく少ないです。
ヨーロッパ特許庁への出願も最近伸びているものの、ヨーロッパの市場を考えるとやはり少ない。
これは日本人特有の価値観かもしれません。
日本の常識は世界の非常識。
これもまた真実です。
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