特許実務の実力は、実際の実務を介してしか身につかない。
これは私の経験からの結論です。
外部の研修機関が講師を招く研修。
オンラインなど様々な研修がありますが、このような研修に参加しても効果が薄いと思います。
理由は3つ。
1つ目は、自分の頭を使って試行錯誤し、積み上げ的に考えていないから。
数学の勉強で解き方を覚えるということが言われています。
実際は、解き方を覚える勉強方法では偉大な数学者は誕生しません。
原則を使って脳みそに汗をかき、応用的に展開していないからです。
研修も脳みそに汗を書く前に答えを見るに等しい。
これでは、事例に合わせたクリエイティヴな能力が身につかない。
特許実務もまさに同様で、審査基準や判例などの原則を使いながら、自分で事例を基に展開していく過程で実力がつくものです。
2つ目は、研修内容と完璧に同一の事案が回ってこない。
研修内容は、所詮、講師の経験談です。
事案の背景も含め、全く同一の事例を経験できれば良いのですが、似たような事案で研修内容を『あてはめ』るような実務のやり方はとても危険です。
要は、作が真似事、偽物になってしまうのです。
事案を異にすると言われて特許庁や裁判所に認められることはありません。
3つ目は、例外を原則だと勘違いしてしまう。
研修の主催は、受講者を集めるために、面白い事例を集めがちです。
しかし、その面白い事例がなぜ面白いのかというと、原則ではなく例外だからです。
多くの受講者が例外を鮮明に覚え、自分の実務に当たり前のように応用すると天地逆転の大変な事態になります。
意見書でも変な項目を挙げる弁理士がいましたが、意見書の基本から外れた愚の骨頂作といえます。
実務は守・破・離を経て上達するものです。
『守』が出来ていないと、何の意味もありません。
研修のテーマや内容も然りです。
なお、日本弁理士会の研修には、特許庁や裁判所の研修の他に、基本事項、共通のフレームワークの研修があります。
こちらの研修なら、受講する意義が高いものといえます。
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