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2022年10月11日 (火)

陳腐化技術を寄せ集めて特許にしても一文の得にもならん!

 

陳腐化技術や時代遅れの技術を寄せ集めて(少し改良して)特許にすることができるか?

 

特許法の進歩性をクリアできれば特許になるが、酷似していれば、ローテク分野と同様に特許にするのは比較的難しい。

 

それでも腕の良い弁理士に依頼して特許にできたとして、どのような意味があるか?

 

 

私は、以下の理由で、弊害の方が大きいと考える。

 

  1. 猿真似企業という世間の評価
  2. 開発力のない企業という社外の評価
  3. 権利にモノをいわせる企業というダメ押し評価

 

 

 

先ず、猿真似企業というイメージは、既にある技術の類似技術に関して特許を取得したことに対する世間の評価である。

 

世間は特許法に素人なので、特許法の理屈は考えてくれない。

 

既にある技術とよく似た技術を見れば、当然、既にある技術の模倣だとみなされてしまう。

 

その結果、その企業のブランド形成に大きな影響を与えることになる。

 

 

 

次に、既にある技術が自社技術だったとしても、技術が酷似しているため、開発力のない企業イメージとして社外からみなされる。

 

そうすると、アライアンス先からも開発力に難ありと評価されて、取引に至らないおそれがあるかもしれない。

 

技術思想は新しい発想に基づき創作されるものであるから、代り映えをしない技術を見て、技術開発に対するやる気や取り組みの具合がネガティヴ評価に結び付く。

 

いつまでも過去の技術(栄光)にしがみ付く会社として、世間には面白くない企業として映る。

 

 

 

最後に、権利にモノをいわせるダメ押し評価。

 

特許というのは世間からすると、スゴイ技術だと認識されている。

 

実際は普通の小学生でも取得できるものであり、拒絶理由(新規性・進歩性違反)がなければ特許になる。

 

仮に腕利きの弁理士がいて、既存技術の類似技術を特許にしたとする。

 

そうなると世間を騙すことはできても、

 

同業他社からは、あの会社は権利にモノをいわせ、共有財産である既存技術に対して今更特許を取ったと言われ、既存の秩序を崩そうとしていると揶揄される。

 

こうなると、その評価は特許を取得した会社にとってブランド形成に傷がつく。

 

 

 

 

以上のことから、誰得の話になるが、

 

手数料を取得した弁理士が得になるだけだ。

 

そうではなく、弁理士であれば、既存技術の改良のほか、新技術や次世代技術の開発も促していかなければならない。

 

それが特許法1条の目的にも適う弁理士の姿勢である。

 

 

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