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2022年10月 5日 (水)

「特許明細書の変形例が超重要」は危険なウソ!

 

「特許明細書の変形例が超重要」という題目に関し、私の見解を述べたい。

 

この意味が明細書の実施例における変形例のことを差し、侵害訴訟で勝訴判決を勝ち取るために超重要と考えるなら勘違いも甚だしい。

 

結論からいえば、訴訟に強い明細書は、書き過ぎない点も重要になる。

 

発明の技術思想を特許請求の範囲に記載し、それを実現するための実施例を明細書の実施形態に記載する。

 

特許権は、特許請求の範囲に記載の技術思想に対して付与されるはずであり、実施例の権利ではない。

 

むしろ明細書に多くの実施例を書き過ぎると、権利範囲である技術思想の外延を明確にするという地雷を踏むことになるのだ。

 

翻って模倣者は、特許明細書の内容を見て模倣する。

 

技術思想の外延が明確になれば、模倣者が模倣することも容易になり、安全な逃げ道を示す結果にもなる。

 

当然ながら、模倣者は、明細書の実施例や変形例は回避した設計態様にしてくるものだ。

 

模倣者は、設計態様も単なる実施例の変形ではなく、特許請求の範囲に記載するべき技術思想レベルの変形を考える。

 

そうなると、特許権の範囲に紐づく明細書の実施形態の変形例とは、土俵が違ってくるわけ。

 

その状態で明細書に多くの変形例を記載しておくと、模倣技術と相違することを自分で進んで決める結果に陥る。

 

だから、模倣者から観れば、異なる土俵(技術思想)の実施例がたくさん記載されていても、まるで隣の家は子沢山のような感覚になり、裁判所からも相違が分かり過ぎて非侵害と認定される危険がある。

 

明細書の実施形態は、書き過ぎても弊害があるのだ。

 

 

 

そうではなく、私が推奨しているのは、

 

特許範囲である技術思想を上位概念、中位概念、下位概念と明確にして、特に上位概念や中位概念の類似思想を増やすべきである。

 

 

これらは1件の明細書にでまとめることは難しいので、最初から複数件の明細書において異なるストーリー展開として記載する。

 

異なるストーリー展開とは、従来技術-課題-課題解決手段のラインを複数創作するという意味である。

 

超重要なのは権利範囲となる技術思想と類似の技術思想をどれだけ創作できるかに尽きる。

 

 

 

一方、表題のように、明細書の実施例に多くの変形例を記載してもあまり有効ではなく、むしろ弁理士側の自己満足ともいえる。

 

1件の特許明細書では1つの技術思想が認定されるのが普通であり、それなら模倣者から技術思想を類似のものに捻られると、事案を異にするとして歯が立たないものになる。

 

発明の技術思想レベルで類似のものを複数創作して、発明に至る独自のストーリーを複数展開することが正解なのだ。

 

 

 

これは、特許を分割することの妥当性にも影響する。

 

分割は技術思想レベルの分割なら有効だが、実施例レベルで分割しても大して意味がない。

 

 

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