twitterやネット界隈でも、弁理士は若手が少ないから若者に有利とする発言がある。
でも、これほど根拠のない発言は少し恥ずかしい。
決定的な2つの致命的ミスを犯している。
一つは、若者が弁理士を目指さなくなった理由を考えていないからだ。
外部事情として、発明数が減少しており、弁理士の需要が減っていれば、当然、若手弁理士も食えなくなる。
漁師の例にたとえると、若手漁師が仮に自分独りになっても、海に十分な魚がいなければ漁業が成立しないのと同じ。
二つは、弁理士の年齢構成だけで若手が少ないという結論も、同業高齢者との相対的な関係に留まり、だから有利という結論もあり得ない。
内部事情だけを考えて、業界が有利か否か、さらにいうと食っていけるかどうかなんて判断できないのだ。
5フォース理論すら検討できていないその結論は、弁理士としても力量が知れる詭弁である。
西村の意見は、弁理士が若者に有望であるとする基準は、発明数がどのような状態になっているかによると考える。
これにも、プロダクト・ライフサイクルが適用できる。
発明数に関して、導入期、成長期、成熟期、衰退期のどの期にあるか。
出願件数の減少⇒発明数の減少⇒理系人口の減少、
中小企業の減少⇒とりわけ製造業の激減⇒サービスを中心として産業構造の変化、
などを考量すると、衰退期。
残念ながら発明数は今後増加しない。
これらネガティヴ要素が満載では、特許出願手続を中心として稼ぐモデルの特許弁理士にとって致命的な状態だ。
このような状態で、若手弁理士が少ないという理由だけで若者が弁理士を目指すことが有望かというと、出鱈目に映る。
少なくともネガティヴ要素を論破しなければ、そのような結論には至らない。
何事もそうだが、業界に参入しその利を受けるためには、少なくとも成長期が良い。
衰退期に参入することも不可能ではないが、かなりのサービスイノベーションが求められる。
当然ながら、特許出願して広くて強い特許権にするだけではサービスイノベーションとはいえない。
以上のようなことから、私は20代、30代の将来ある若手こそ、弁理士を目指さずに別の道に行く方が良いとアドバイスを行う。
親が弁理士で、高校生の自分の子供が同じように弁理士を志望するというなら、弁理士を推薦する親がどれだけいるか?
私には甚だ疑問だ。

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